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交流分析とは(3)

交流分析とは(3)

交流分析の前提となる考え方(哲学)の一つとして、「人は誰でも考える力を持っており、自分の人生は自ら決めることができ、その決定は変えることができる」を以前に述べました。その結果として、「自律性の確立」していきます。

「じりつ」を漢字で現すと、「自立」「自律」があります。
似たような意味ですが辞書を見ると、次のような違いが書かれています。

自立:他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。
自律:他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。自らの意志によって普遍的道徳法則を立てこれに従うこと。

「自立」は経済的、物理的に独立する意味が強く、「自律」は自分の意思や行動をセルフコントロールする意味が強いようです。

また、自律とは逆の言葉で、「他律」という言葉もあります。

他律:自らの意志によらず、他からの命令、強制によって行動すること。

交流分析では、自らの意思や考えに基づいて自ら行動する「自律」の確立を目的としています。つまり、人に決められてやるのでなく、自ら考え、自ら決め、自ら行動できるようになろう、ということです。

過去と他人は

というのが、交流分析の基本姿勢です。


☆    ☆    ☆

事業経営(仕事)においても健全に成長するためには、「自律の精神(意思)」が必要です。

いくら外部のコンサルタントが良い提案やアドバイスをしても、それを決めて実行するのはクライアントです。外部の人間ができるのは決断や実行のサポートまでです。

そのような点においては、コンサルタントは医者に似ています。医者がいくら病気の患者を治そうと精一杯の努力をしても、患者自らが治そうとする意志と行動がなければどうすることもできません。

事業経営や仕事においても、コンサルタントから言われた、上から命令された、ということで事業経営(仕事)を考えているようでは、よい経営(仕事)はできません。 自らが主体的に良くしようと考え、実行することが大切です。

社員数が多くなったり、経営者が交代してくると、知らず知らずの内に他律的な考えとなり、事なかれ主義になりがちです。しかし、事業経営は決してそうあってはならないと思います。

事業経営においても自らが考え、行動しようとする「自律の精神(意思)」が大切です。


『自主経営のない人は依存経営になります。それでは「共存共栄」になりません。助けられてするということはいつか破綻します。自主経営は相手から与えられるものではない。自主経営は自分でするものです』
(松下幸之助:昭和39年(1964年)10月販売店会議(熱海会談)での言葉)

『時間は限られているのだから、ほかの誰かの人生を生きることでそれを無駄にしてはいけない。・・・ 自分の内なる声を他人の意見でかき消されないようにしよう』
(スティーブ・ジョブズ)


交流分析とは(3) by TEAM KAMATAMA


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交流分析とは(2)

交流分析とは(2)

交流分析は、従来は心理療法やカウンセリングなどの医療(クリニカル)の場で活用されてきました。最近では学校や企業の職場等の非医療(ノンクリニカル) の場で多く活用され、様々な人間関係の問題の解決等に役立っています。

そして、交流分析(TA)は7つの分野(4つの分析+3つの理論)から成り立っています。

7つの分野<4つの分析+3つの理論>
1.構造分析 (心の姿を知る)
2.対話分析 (やり取りの仕方を知る)
3.ストローク理論 (認め合いを知る)
4.人生態度理論 (人生に対する構えを知る)
5.ゲーム分析 (人間関係を知る)
6.時間の構造化理論 (時間の過ごし方を知る)
7.人生脚本分析 (人生の脚本を知る)



前回、交流分析(TA)の前提となる基本哲学(考え方)の一つとして、「人は誰でも価値ある存在であり、誰でもOK(I am OK.You are OK)である」ということを述べましたが、少し詳しく説明をします。

人は自分や他人、世の中の様々な出来事に対して、その人独特の見方や感じ方、行動をしています。
その背景には、自分自身と他人との関係をどのように感じて、どのように考え、行動しているか、このような他人や人生に対する基本的な心の構え(価値観や人生観)があります。自分自身が自分あるいは他人に対して、肯定的(OKである)に捉えるか、否定的(OKでない)に捉えるかによって、その人の行動や感情が変わってきます。そして、そのような基本的な心の構えが、その人の生き方(人生)にも大きな影響を与えています。

交流分析では、人は誰でも喜んでこの世に生をうけたものであり、「人は誰でも価値ある存在であり、誰でもOK(I am OK.You are OK)である」との立場をとっています。自他ともに肯定的な心の構えを持つことで、自分に対しては前向きな姿勢で臨み、他人とは共感的な生き方をして、健全な人間関係を築こうと考えています。


☆    ☆    ☆

このような考え方は経営コンサルタントがクライアントへ向かう構え(感情、考え方、行動)と共通しています。

コンサルティングをしていると、多くの経営者や役員と交流をします。仕事を通して多くの人と親密な人間関係が築かれます。その中で感じることは、企業や団体の経営に携わる人は、総じて個性的で独特な性格を持った人たちが多いということです。言い方を変えれば、毒にも薬にもなる人であり、どこか尖ったものを持っている人たちです。人として完全かというとそうではなく、むしろ欠点や短所を多く持った不完全な人といえるかもしれません。しかし一方で、そのような個性を持った人だからこそ、多くの人がその人について行きます。

個性とは短所も長所も合わせたものであり、それがその人の魅力だと思います。
そのようなことを考えると、
人の性格はコインの表と裏
だなぁと実感します。

表面から見れば長所に見えるが、裏面から見れば短所に見える。しかし、表面から見ようが裏面から見ようが、それは同じ一枚のコインです。

違っても良い
違っていても良いところがある

経営コンサルタントは良いところ(長所)だけでなく、そうでないところ(短所)も合わせて、一人の魅力ある人間として見ることが大切だと思います。
(自分も同じ不完全な人間であるのだから・・・。)

経営コンサルタントがクライアントへ向かう構えと、交流分析の「人は誰でも価値ある存在であり、誰でもOK(I am OK.You are OK)である」という考え方は共通しています。


本田宗一郎とともに“世界のホンダ“の基盤を作った藤沢武夫が、本田宗一郎について次のように言っています。

『社長には、むしろ欠点が必要です。欠点があるから魅力がある。・・・私のほうが欠点は少ないでしょう。だが、そのぶん魅力がない。だから社長業は落第です。』(藤沢武夫)

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交流分析とは(1)

交流分析とは(1)

交流分析とは「精神分析の口語版」「自己コントロールの心理学」と呼ばれ心理学理論の一つです。1957年に精神科医エリック・バーン(Eric Berne)によって提唱された「集団心理療法」がはじまりです。
交流分析の名称は、Transactional Analysisをそのまま日本語訳にしたものです。

その主な特徴は次の通りです。
1.難しい用語を使わないで図式や記号を用いているため理解しやすい
2.「今、ここ」にある自己の理解を高める(自分に気づく)ことができる
3.自分と他人との交流パターンを理解することができる。
4.他人との親密な交流を回復することで、「自律的な人間形成」を図ることができる



自分の本来持っている能力に気づき、自らの能力の可能性を実現していくことで、「自律性の確立」を目的としています。

その前提となる基本哲学(考え方)は次の通りです。
1.人は誰でも価値ある存在であり、誰でもOK(I am OK.You are OK)である。
2.人は誰でも「いま、ここ(Here and Now)」に生きて存在しているのであり、過去のどこかにいるのではない
3.人は誰でも考える力を持っており、自分の人生は自ら決めることができ、その決定は変えることができる


自分を信じる


☆    ☆    ☆


交流分析と事業経営の考え方には、共通する部分がたくさんあります。

例えば交流分析では「いま、ここ」(here and now)を基本前提としています。
人は誰でも「今ここ」に生きて存在しているのであり、まずは今の自分の存在に「気づく」ことを大切にしています。
外(他人との人間関係や外部環境)に答えを求めるのでなく、内なる自分に答えを求めています。

事業経営でも同じことがいえます。

業績が良くない会社や問題を抱えた会社を見ると、そのほとんどが問題の原因を外(外部環境や自分以外)に求めています。いくら厳しい経営環境であっても、その中にあってしっかりと事業経営をしている会社が必ずあります(少数ですが・・・)。

経営状況が悪いことを外部環境やライバル(経営者、経営幹部であれば社員も)のせいにしていては、決して良い方向には進みません。

答えを外に求めるのでなく、内なる自社(自分)に求めること

が大切だと思います。
(このことはコンサルタントにも言えることです。うまくいかないことをクライアントのせいにしている人もたまに見かけるが・・・)

「原因を外に求めることは、天に唾を吐くようなもの」だと思います。


経営者や経営幹部にとって、現状の姿を認識することは苦しいことでもあります。なぜなら、今の経営状況を作り出した原因は自分たちにあると考えるのだから・・・。
しかし、

責任(原因)自分論で考えた時、今自分たちが抱える本当の問題を捉えることができ、改善・改革へ向けての第一歩を踏み出すことができます。


「経営の神様」と「経営学の父」も次のような言葉を述べています。

『経営がうまくいくのもいかないのも、国がうまくいくのもいかないのも、外部ではなく内部に原因がある』
(松下幸之助)

『未来を語る前に今の現実を知らなければならない。現実からしかスタートできないからである』
(ピーター.F.ドッラカー)

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