人材育成のポイント(3)「意欲がない」「意欲を持とうとしない」従業員9割
世論調査会社のギャラップ社が行った 労働者の仕事に対する意識調査 (142カ国、23万人のフルタイム、パートタイムの従業員)によると、
・意欲があり、積極的に仕事に取り組む従業員が13%
・意欲がなく、なんとなく仕事に取り組む従業員が63%
・意欲を持とうとしないで、仕事を嫌っている従業員が24%
といった結果でした。
日本ではもっと意欲を持って仕事をしている従業員が多いのではないかと思われるかもしれないが、日本の結果は次の通りでした。
・意欲があり、積極的に仕事に取り組む従業員が7%
・意欲がなく、なんとなく仕事に取り組む従業員が69%
日本では意欲を持って仕事に取り組んでいる人は1割以下で、大部分の9割以上が「意欲がない」「意欲を持とうとしない」従業員という結果でした。
これまで経営コンサルを通して数多くの会社を見てきましたが、ギャラップ社の調査はほぼ妥当な結果ではないかと思います。多くの社員は情熱や熱意を持って仕事に取り組みたいと思っているが、それを感じることができず、気持ちが仕事から離れ、なんとなく仕事をしている状況ではないかと思う。これは働く社員の問題ではなく、社員に仕事への意欲、情熱を持たせられない経営者・管理職の人づかいの問題です。
しかし調査結果を別の見方をすれば、良くなる伸びしろが大きいと言えます。「なんとなく仕事をしている」「意欲を持とうとしない」社員内の1、2割が「意欲ある社員」に変わるだけで、会社は大きく改善し、多くの社員に働きがい・生きがいを持たせられる会社に変わります。
実際の経営コンサル現場では、経営を改善するために「意欲ある社員」を巻き込んで変革の推進者となってもらったり、「なんとなく仕事をしている社員」を「意欲ある社員」に変わってもらう、などの取り組みをします。
ギャラップ社は、意欲をもって働くために必要なこととして、次の12点をあげています。
1.職場で自分が何を期待されているか知っている
2.仕事を間違いなくこなすための材料や道具をもっている
3.職場で、毎日、自分が最も得意なことをする機会がある
4.この1週間に、職場で良い仕事をしたとして認知されたり称賛を受けたりした
5.上司やその他、職場のだれかが、自分のことを一人の人として気にかけてくれているようだ
6.私が進歩していくのを励ましてくれる人が職場にいる
7.職場で、自分の意見をくんでくれる
8.会社の使命や目的が、自分の仕事は大切だと感じさせてくれる
9.同僚たちは質の高い仕事をしようと努力している
10.職場に仲の良い友人がいる
11.過去6カ月の間に、私の仕事が進歩したと職場のだれかに言われた
12.昨年、仕事で学び成長する機会があった
以上の点を見ると、確かに「期待」や「承認」などのコミュニケーションや職場風土が大切であることは理解できます。しかし、それだけでは具体的にどのようすればよいのか分かりにくいと思います。
次回は、職場を改善して成果が上がった事例をご紹介します。
『よき人材の育成なしには、企業はみずからの社会的責任を全うしていくことはできない』(松下幸之助)


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